君の痛みは君のもの 僕の痛みは僕のもの

イキウメ見に行ってきた。

昼と夜に別れてしまった未来。
強く若い肉体を手に入れた夜の住人と、彼らの登場によって「古く」なってしまった普通の人達。

四十年程前、
世界的なバイオテロにより拡散したウイルスで人口は激減し、政治経済は混乱、
社会基盤が破壊された。

数年後、感染者の中で奇跡的に回復した人々が注目される。
彼らは人間をはるかに上回る身体に変異していた。
頭脳明晰で、若く健康な肉体を長く維持できる反面、紫外線に弱く太陽光の下では
活動できない欠点があったが、変異は進化の過渡期であると主張し自らを
「ノクス」(ホモ・ノクセンシス = 夜に生きる人)と名乗るようになる。

ノクスになる方法も解明され、徐々に数を増やす彼らは弾圧されるが、変異の適性は
三十歳前後で失われる為、若者の夜への移行は歯止めが効かなくなった。
次第に政治経済の中心はノクスに移り、遂には人口も逆転してしまう。
ノクスの登場から四十年、
普通の人間は三割程になり、ノクス社会に依存しながら共存している。
かつて日本と呼ばれた列島には、ノクス自治区が点在し、緩やかな連合体を築いていた。
都市に住むノクスに対し、人間は四国を割り当てられ多くが移住していたが、
未だ故郷を離れず小さな集落で生活するものもいた。

劇中、「こんな自分は嫌だ、ノクスになりたい」と嘆くキュリオ(オリジナルの人間)。
キュリオをキュリオたらしめているものは、ノクスではない。
ノクスに対するキュリオ自身の劣等感。



自分の答えを、自分の外側に求めても解決しないんだよね。